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NITRO OVER RUN
 2005年03月06日 東京・後楽園ホール 観客動員数:1390人
第1試合 シングルマッチ30分1本勝負
長与千種 水村綾菜×
(13分32秒、肩固め)
これが最初で最後のシングルとなる長与と水村のシングル戦。
長与はかつて全女横アリ大会に出場した際、所属選手からプレゼントされた黒革のガウンで入場。
水村は感極まったか、ゴング前から涙目。
ゴングが鳴ると、手四つの攻防からブリッジ。長与は上に乗って体重をかけるが、水村は崩れずに耐える。
水村はスリーパーからヘッドロック。絞りがゆるくなると、村山レフェリーは「もっと絞れよ、オラ!」と檄を飛ばし、セコンドの飛鳥は「練習思い出せ、右足出して!」とアドバイスを送る。
「絶対離すな!」という飛鳥の声に、水村はロープに振られても離さず、テキサスブルドーザー。バックドロップで投げられてもすぐさま絞り返す。
終盤、水村は丸め込み、逆さ押さえ込みを連発。村山レフェリーの(心なしか)高速カウントに、長与はあわやカウント3の連続で冷や汗。
水村は肩固めで勝負に出るが、しかし、長与は切り返して逆にスリーパー。
これは何とかエスケープした水村だが、長与は身長差を利して、今度は押し潰すようにスタンド式の肩固め。たまらず水村が長与の肩口を3度叩いて、ゴング。
絞め技を軸に試合を組み立て、新人とのプロレスをエンジョイした長与は、リング下で飛鳥と拳をチョンと軽く突き合わせ、笑顔で退場した。
第2試合 シングルマッチ30分1本勝負
×植松寿絵 浜田文子○
(15分54秒、APクロス→片エビ固め)
試合前、文子は植松のセコンドについたアジャの引き込みに成功。植松は「そりゃないよ、アジャ様」
試合は文子の持ち込んだ1脚の椅子がポイントとなり、植松は椅子にジャーマンを仕掛けて、ブリッジして文子に突き立てようとしたり、さりげなく椅子を背中に隠して文子のムーンサルトを誘うなど、ポイントでは面白い動きを見せるが、いずれも単発。一方の文子の椅子使いは“殴る”が主体で単調。最後は文子のスピンキックを食らいながら、植松が珍しいハイキックを叩き込むが、文子は再度のスピンキックから、APクロスで強引にねじ伏せて勝利。
随所に面白くなりそうな瞬間はありながら、正攻法なのか、椅子を巡る攻防なのか、15分の中で何度も中心軸がブレたため、結果的に散漫な試合になってしまったのは残念。
第3試合 タッグマッチ30分1本勝負
シュガー佐藤 カルロス天野×
永島千佳世 輝優優
(19分20秒、雷電→エビ固め)
天野が裏アキレス、腕十字、フライングラリアット、カルロスゴーン。
輝がエアプレーン、エルボー、レッグラリアット、垂直落下。
シュガーが裏投げ、ボディアック、ライガーボム、雷電。
永島がミサイルキック、フットスタンプ、フランケン、フィッシャーマン。
心・技・体のうち、この4人が繰り出す“技”については、申し分がない。
“心”も解散を控え、モチベーションが低かろうはずがない。
ただ、天野以外の3人は“体”の部分で、やや動きに精彩を欠いた。
“運動量のプロレス”を見せるならば、ベストコンディションのキープは必須条件。
敗れはしたが、天野の動きの良さが際立っていた。
第4試合 シングルマッチ30分1本勝負
×広田さくら ダンプ松本○
(8分00秒、体固め)
広田はダンプコスプレ・鎧バージョンで登場。もちろん横には阿部“トミー”四郎。
しかし、鎧を脱ぐと、なぜか中身はサソリのコスプレ。なぜだ!
試合前、福袋特典“広田に花束贈呈”のため、6人のファンがリングイン。が、誰もダンプと視線を一切あわせず、逃げるように凄いスピードで花束を渡してリングを降りる。
試合は花束を抱えたサソリ…じゃなくて広田をダンプが強襲してスタート。
広田はクレジットカードの暗証番号を教える“めちゃイケ”ネタで窮地脱出を図り、更に長与の通帳まで差し出すが、ダンプは構わず竹刀で一撃。
背を向けたダンプに、広田がスクールボーイを仕掛けると、これにトミーが高速カウントで対応。ダンプが激怒すると、トミーは慌てて阿部コスプレを脱ぐ。
広田は竹刀を奪い、背後から忍び寄るが、ダンプが気付くと「メーン!メーン!」とか言いながら、早素振り。
そして再び後ろに忍び寄り、ボ・ラギノールを突き立てるが、ダンプのシリの肉が分厚く、患部まで到達せず。
それでもめげずに、まさに梱包するかのごとく、ダンプの巨体をゴロリと転がしスモールパッケージ。
更にダンプの極太ラリアットで空中半回転させられながらも、ときメモで反撃し、バックに回ってへなーラを狙うが、投げきれずに、そのまま巨体に圧殺されてカウント3。

試合後、ダンプはマイクを掴むと「千種、飛鳥、控室で聴いてるか!引退まで残りわずか。怪我に気をつけて、最後までファンのために燃え尽きろ、クラッシュ!」と真摯なメッセージ。観客のどよめきの中、右腕を突き上げてリングを後にした。
セミファイナル シングルマッチ45分1本勝負
×ライオネス飛鳥 アジャ・コング○
(10分21秒、裏拳→片エビ固め)
ゴングと同時に、アジャは不意を突いていきなり裏拳。更に垂直落下、アジャ缶と、短期決戦狙いで畳み込む。
飛鳥は逆回し等で反撃を狙うも、首のテーピングが物語るように、コンディションが十分でなく、苦戦が続く。
アジャの長時間に渡るスリーパーを逃れた飛鳥は場外戦に持ち込み、トップコーナーからフットスタンプで机ごと破壊。
更に逆回しを連発するが、カウント3は奪えず。
アジャは垂直落下、シャイニング・ウイザード、ダイビングエルボーと怒涛の攻撃を見せるが、飛鳥はいずれもカウント2でクリア。
最後は裏拳3発。1発目をカウント1で返し、2発目も2で返すやすぐに立ち上がった飛鳥だが、ダメージでもはや足元はおぼつかず、フラフラ。
アジャはグローブを投げ捨て、最終兵器・素手裏拳を叩き込んでカウント3。

試合後、飛鳥は「レスラー生活最後の後楽園、アジャとシングルで悔いはないです。アジャ、ありがとう!もっと動けたらと思いましたが…悔いはありません。4月3日、私の最後…そしてクラッシュの封印を観てください!」とマイク。
「もっと動けたら…」のくだりは、ケガで全盛期のようなコンディションをキープ出来ない、飛鳥の無念さが痛切に伝わった。
メインイベント “PURE BLOOD”8人タッグマッチ60分1本勝負
×長与千種 シュガー佐藤
カルロス天野 永島千佳世
広田さくら 植松寿絵
水村綾菜 輝優優
(13分07秒、回転フットスタンプ→片エビ固め)
所属選手による8人タッグは、全員が黄色いGAEAのジャージを着て入場。
序盤は広田の独壇場。長与とエキセントリックの連携技“素晴らしい連携”を繰り出したかと思えば、めちゃイケでは見事にカットされていたムーンサルトを永島に決めてどよめきを誘う。
キャリアの浅い水村は、植松をケサ固めで絞め上げながら、ローリングクレイドルのように回転するオリジナル技を披露。シュガーのチョークスラムを食らってもカウント2で返す。
青コーナー組は4人揃って「決めるぞ、場外」。更にリングに戻ると長与を捕まえ、植松のダブルリスト、輝の垂直落下式、シュガーの白虎、永島の前宙フットの波状攻撃。
カットに助けられた長与は、久々のスーパーフリークから2段蹴りで反撃するが、青コーナーは再び長与に集中攻撃を仕掛け、永島の雪崩式フランケン、シュガーの雷電、植松の顔面ウオッシュ、輝のエルボーを立て続けに打ち込むと、再び永島が前宙フットを叩き込んでカウント3。

試合後、8人はそれぞれ握手を交わし、車座になって礼。
最後は勝者・永島がマイクを持ち「最後に所属選手で当たれた良かったと思います。あと1ヶ月ですが、ファンのみなさんも悔いのないよう、最後まで楽しんでください」と締めた。