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WAR CRY
 2005年02月11日 東京・後楽園ホール 観客動員数:1410人
第1試合 シングルマッチ30分1本勝負
カルロス天野 水村綾菜×
(04分05秒、三角絞め)
デビュー戦以来、両者のシングルは3度目。エルボー、ドロップキック、丸め込みで攻め込む水村だが、この日の天野は厳しさを前面に出し、強烈なフロントキックを中心に試合を組み立てる。最後は水村の丸め込みを下から三角絞めで捕らえ、水村が脱出を試みると体を入れ替えて馬乗りになっての三角絞めで圧勝。
第2試合 タッグマッチ30分1本勝負
カルロス天野 植松寿絵
AKINO 輝優優
○カルロス天野(14分50秒、カルロス・ゴーン→片エビ固め)植松寿絵×
序盤は素早いタッチワークで植松組が主導権を握り、AKINOが顔面ウォッシュを繰り出しても、すぐさま植松が同じ技でやり返すなど、天野組は劣勢。ダブルの飛び付き十字を決めても、権利のない植松がすぐさまタップし、レフェリーが混乱した隙に脱出されてしまう。しかし、天野組も時間経過と共に息が合い、中盤以降は互角の攻防。途切れない技の応酬に、観客席もヒートアップする。
終盤、天野組を分断した植松組はハイアングル植松で勝負に出るが、これをAKINOがスワンダイブで絶妙のカット。この一発で流れが変わり、最後は逆に植松が孤立。AKINOに後ろからミサイルキックを食らうと、前につんのめった勢いで天野の頭と正面衝突してしまい大ダメージ。そこに、更にもう一発カルロスゴーンを叩き込まれてピンフォール負けを喫した。
第3試合 シングルマッチ30分1本勝負
×広田さくら ジャガー横田○
(10分54秒、ときめきメモリアル→体固め)
ジャガーのコスプレで入場した広田は、ジャガーの旦那さん・木下先生(本物)を引き連れ入場すると、ジャガーズ・アイまで再現し、首をかしげてジャガーの前に仁王立ち。苦笑いするジャガーだが、目はまったく笑っていない。開始早々、広田がヒップアタックを繰り出すと、なぜか場内大歓声。これはジャガーの真似と言うより、単なる広田の昔の持ち技なのだが…。
更に広田が“愛のジャガー”を振り付けで熱唱すると、長与らセコンド陣も大笑い。ジャガーのセコンドについていたアジャも我慢できずに笑うと、ジャガーはアジャに張り手一閃。怖いよ…。ジャガーに卍を仕掛ける広田だが、股固めに切り返され、股間に大ダメージ。逆にジャガーに卍を決められると、セコンドの木下先生に助けを求める。ここで思わず木下先生が広田に声援を送ってしまうと、ジャガーは激怒。この日一番の鬼の表情で、場外まで木下先生を追い回す。リングに戻ると、広田は首をまっすぐに直してから、犬神家で伸び上がって、そこからアストロシザース。
更に、ときメモをブロックされると、珍しいコブラツイストを繰り出し、そこから強引にときメモを狙う。ジャガーは“手あや取り”からスープレックスで広田を後ろに放り投げると、トドメを狙ってロープにダッシュ。しかし、突っ込んでいったところに、ダメージの大きい広田が絶妙のタイミングでしなだれかかり、浴びせ倒してあわやのカウント3。チャンスとみた広田は、一気に正面からときメモ。しかし、ジャガーは唇を奪われたまま、超至近距離から広田に鋭い眼光を浴びせる。
目で殺された広田がたじろいでときメモを解くと、ジャガーは広田の頭をガバッと掴み、掟破りの逆ときメモ。女としてのキャリアの違いを見せつける、滞チュー時間の長い濃厚なときメモの前に、広田はスリーカウントを喫した。試合後、広田はエンプロで戦いたい選手がいることを表明。バックステージに戻ると偽造王・一宮の名を口にした。
第4試合 シングルマッチ45分1本勝負
シュガー佐藤 永島千佳世×
(16分12秒、雪崩式ライガーボム→エビ固め)
GAEAマットでは確実に最後、シュガーの現役続行期間を考えると、4月以降を含めても最後かも知れない両者のシングルは、序盤はシュガーがドラゴンスクリューからの足四の字でリード。永島は場外乱闘でペースを変え、シュガーのステージからのパワーボム狙いを切り返すと、逆にステージからフットスタンプ。リングに戻ると強烈な張り手合戦から、シュガーのライガーボム、雲龍、雷電、永島のジャーマン、フィッシャーマン、フットスタンプが飛び交うが、いずれもカウントは2。ならばとシュガーが永島の得意技・フィッシャーマンを繰り出すが、永島は1で肩を上げ、お返しにシュガーの得意技・裏投げを繰り出すが、シュガーもこれを1で跳ね上げる。両者ダウンから、永島はハーフネルソンに続き、回転フットスタンプ。これをかわしたシュガーはカウンターで強烈なボディアタック。最後は永島の雪崩式フランケンをコーナーでキャッチしたシュガーが、そのままセカンドロープからライガーボムで叩きつけてピン。試合後、両者は握手を交わして抱擁。様々な感情が込み上げたか、気の強い永島が、思わず目に涙を浮かべた。
ダブルメインイベント シングルマッチ60分1本勝負
×長与千種 アジャ・コング○
(13分10秒、裏拳→体固め)
序盤からラッシュをかけたアジャは、雪崩式ブレーンバスターから垂直落下ブレーンバスター。更に起こしてアジャ缶で一撃。これは長与が正拳でカットするが、すぐに次の一撃を叩き込み、アジャ缶の上へ垂直落下。しかし、長与は下から腕十字を決め、更に倒れたアジャの右ヒジにローキックを容赦なく連打。これにアジャが悶絶すると、長与はストラングルホールドを仕掛け、決めたままアジャの右ひじを捻りあげる。目には目をと、アジャは長与の左ヒザに蹴りを叩き込み、倒れこみながらヒザ固め。今度は逆に長与が悲鳴を上げる。更にアジャは足四の字、ヒザへのエルボーと、長与の爆弾箇所に集中攻撃。長与も座り込んだ体勢のまま、泥臭くアジャの右腕にギロチンの要領で右ヒザを叩きつけ、執拗にヒジを狙う。腕十字でアジャをロープに這わせた長与は、何とノーザンライトボムを予告。場内が大きくどよめくが、これはアジャがブロック。アジャは痛めたヒジで顔を歪めながら、裏拳を三連打。長与は意地でも倒れず、逆に痛めた左ヒザを軸足にして二段蹴りを連打。両者フラフラの中、グローブを外したアジャは再び裏拳を狙うが、長与はこれをかわしてスタンドで片羽絞め。場内は落とせコール。脱出したアジャは、四つん這いになりんがらも、長与に裏拳。更に二段蹴りを顔面に食らいながらも、長与の二ールキックを痛んだ腕で叩き落とす。
最後は、両者共に足元がおぼつかない状態の中、アジャが倒れこむように素手裏拳を叩き込み、大の字になった長与に、這いつくばって腕を乗せてフォール。カバーまでに空白の時間はあったが、長与はこれを返せずカウント3。試合の中で、お互いがフォールの体勢に入ったのは、フィニッシュのアジャの1回のみ。ハッキリと目を見開きながらも、気力と体力が尽きて肩を上げられなかった長与の負け様は、まさに完敗と言える。試合後、長与が下を向いたまま握手を求めると、腕をテーピングされていたアジャは、それを外して握手。そして、ヒザまずく長与の前で、何かを吹っ切るように、天を仰いで両拳を挙げた。

ダブルメインイベント シングルマッチ時間無制限1本勝負
×ライオネス飛鳥 KAORU
(19分39秒、エクスカリバー→片エビ固め)
約3年半前、壮絶な死闘の末に両者ノックアウトとなった両雄最後の決着戦は、“正々堂々、何でもあり”のハードコアルール。守護神・ラダーを持参したKAORUに対し、飛鳥は肩に黒、小脇に銀、2種類の飛鳥デスクを抱え、セコンドには“裁恐軍”ブラディー&ファングを従える磐石の布陣で戦いへ臨んだ。紙テープが舞う中、奇襲をかけたKAORUは、いきなりムーンサルトプレス。復帰後初の一発は、試合早々に自身のヒザへの不安を吹っ切るための一発に見えた。更にKAORUはラダーに登って、頂上からムーンサルトを繰り出すが、これは飛鳥がかわし、ヒザを強打。逆に飛鳥は、ラダー上からの雪崩式ブレーンバスターでKAORUを叩きつける。再びラダーに乗ったKAORUを、飛鳥がラダーごと場外に突き落とすと、戦場は場外へ。飛鳥は場外でジャイアントスイング。そしてKAORUを椅子に座らせ、南側階段から突き落とそうとするが、KAORUはこれをかわし、逆に飛鳥を階段から突き落とす。そしてステージにラダーを設置し、机に寝かせてムーンサルトを狙うが、これを阻止した飛鳥はラダー上からステージ下のKAORUにフットスタンプを投下。物凄い破壊音と共に圧殺されたKAORUのダメージは大きく、飛鳥は無理やりKAORUを担いでリングへ戻す。リングに戻ると、飛鳥は逆回し蹴りから机をコーナーにセットし、そこから究極ライガーボム。場外フットのダメージ+リングの板が浮き上がる程の究極ライガーの衝撃に、場内には決着の空気が漂ったが、KAORUはこれを2でクリア。飛鳥は、トドメとばかり今度はトップコーナーに机をセットして、超・究極ライガーボムを狙うが、KAORUはこれを空中でウラカン・ラナに切り返す、スーパームーブで逆転。
勝負所とみたKAORUは一気にエクスカリバーを叩き込むが、飛鳥はこれをクリアすると、すぐさまライガーボム、逆回し蹴りで反撃。KAORUもこれをクリアすると、すぐさま机片で飛鳥をブチ抜き、流れるように619から再びエクスカリバー。そして、リング中央に机をセットし、トップコーナーからのハードコアセントーンで飛鳥を机ごと破壊するが、飛鳥はトドメを狙って起こしてきたKAORUに、逆転のLSDスリー。しかし、KAORUはこれもクリアし、赤の毒霧から三度エクスカリバー。飛鳥はこれを返し、緑の毒霧を吹くが、KAORUはダッキングでかわし、逆に緑の毒霧。ここが勝負の分かれ目となり、視界を塞がれ片ヒザをついた飛鳥に、KAORUは机片を次々に叩きつけると、4度目のエクスカリバーでついにカウント3を奪取。試合後、飛鳥が這いつくばってKAORUに手を差し出すと、KAORUも握り返し、お互いに体を抱き起こして無言のまま抱擁。そして、飛鳥はKAORUの手を上げてリングを去り、KAORUは万感の思いで静かに拳を突き上げた。
DorAから5年…飛鳥に見出されたKAORUのハードコア・ロードは、最後の最後に恩人超えを果たした事で一つの読点が打たれ、女子ハードコアの先駆者・飛鳥は、最後の最後に集大成の戦いを創り上げることで、自身のハードコア・ロードに句点を打った。21世紀初頭にベテラン2人がその身を削って築きあげた、独自の世界。願わくば、5年後10年後、更にそのまた先…この世界が語り継がれているだけでなく、受け継がれていることを切に臨みたい。