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2003年05月18日 東京・後楽園ホール
第1試合 シングルマッチ30分1本勝負
○ダイナマイト・関西(12分31秒、スプラッシュマウンテンからエビ固め)輝優優×
関西の重いキックに対し、輝は左右のエルボーで応戦。しかし、打撃戦は俄然、関西に軍配。輝は縦のドラゴンスクリューや雪崩式ブロックバスターを繰り出すも、関西の重爆フットスタンプに悶絶。スプラッシュはなんとか1で返すも、ハイキック連打から再度のスプラッシュで完敗。
第2試合 シングルマッチ30分1本勝負
×広田さくら(9分44秒、エビ固め)浜田文子○
大方の予想を覆し、広田はハウンドドッグのテーマ曲に乗り、文子パパこと、グラン浜田のコスプレで登場。リングインするや小さく手を挙げ(芸が細かい)、低い声で「どした、文子ぉ」
そして、呆れる文子を尻目に、パパの足の長さや髪型など、触れてはいけないテーマに言及。
すると、再度ハウンドドッグのテーマがかかり、なんと本物のパパが登場!!まさかの本物来場に口あんぐり状態で完全に素に戻った広田は、マイクを持ってもしばし言葉が出ず。ようやく「オヤジの生きザマ、よく見ておけ!」と絞り出す。
しかし、試合が始まるとさすがはプロ。来場者の何人が元ネタを知っているのかはさておき、「キシュ、キシュ」という呼吸音とともに、低空ラリアットを始めとするパパムーブを披露。更にバックの取り合いから文子の胸をむんずと掴むと「文子…大きくなったなあ」としみじみ。
終盤、広田は文子のムーンサルト、ライガーボムをカウント2でクリア。そして危険な角度のウラカン自爆から、無理やり浜ちゃんカッターを狙うも、無残に一人だけマットへと落下し、失敗。しかし、パワーボム狙いと見せかけ、そこから逆さ押さえ込みにスイッチすると、これがあわやのカウント2.9。その切れの鋭さには場内からどよめきが。ところが、最後は一本足頭突きを狙ったところを、足をかけられて転倒。そのままエビに固められてカウント3。
本物が見守るプレッシャーの中、きっちり仕事を果たした広田と、エンジョイしながらそれを受け止めた文子。好勝負でした。
第3試合 タッグマッチ30分1本勝負
長与千種、山田敏代 vs 尾崎魔弓、KAORU
×山田敏代(12分26秒、エビ固め)尾崎魔弓○
長与の復帰戦は、D-FIXが序盤から分厚いサポーターの巻かれた長与の左膝を攻撃。
KAORUは多彩なテクニック(含むブーメラン落ち)を駆使して、尾崎は木槌での殴打など反則も交えて、じわじわと攻め込む展開。
ようやくスイッチに成功した長与組は、山田が反撃のダイビング延髄を放つも、着地の際に左肩を負傷。するとD-FIXは狙いを切り替え、今度は山田の左肩に集中砲火。山田はこれで戦線離脱。
ここから長与が孤軍奮闘。スーパーフリークを放ち、尾崎のシャイニングヤクザ連発もカウント1でクリア。
ようやく山田が復帰すると、山田もエルボー連打で反撃。KAORUの619から尾崎のシャイニングヤクザへとつなぐ、D-FIXの必勝パターンも返し、逆転のリバゴリへ。しかし尾崎はこれをカウント2で返すと、リバゴリを食らった体勢のまま、山田の腰に足を絡め、そのままひっくり返す技ありのエビ固めを決めてフォール勝ち。
第4試合 "GAEAvs元全"シングルバウト パート1 30分1本勝負
×植松寿絵(10分25秒、ヘッドバットからエビ固め)デビル雅美○
いきなりの場外乱闘はデビルの独壇場。植松が髪を掴むと、業界屈指の毛髪力でこれを吹き飛ばし、リングサイドの子供にアピールするなど余裕シャクシャク。
リングインに戻ると、豪快なジャンボスープレックスを放ち、植松がすぐに起き上がってダッシュをかけると、待ってましたとカウンターのファイアーバレー!植松はこれをなんとか返し、ナックルやドラゴンをやみくもに放つも、デビルの余裕は最後まで奪えず。デビルは見せつけるように超強烈なパワーボムを3発。最後はライガーボムを返されると、頭突きを叩き込んでトドメ。
植松にとっては思い入れの強い一戦ながら、デビルの目線は相手よりも観客に。デビルとの合体を機に、今のスタイルを少しずつ積み上げてきたにも関わらず、そのデビルとの対戦で、ガムシャラさだけが先走る、元の植松に戻ってしまったのは、なんと皮肉な事か。
第5試合 "GAEAvs元全"シングルバウト パート2 30分1本勝負
×里村明衣子(16分32秒、逆回し蹴りから片エビ固め)ライオネス飛鳥○
序盤から意識的にアクセルを抑えた攻防を繰り広げる両者は、一つ技を決めてもすぐに畳み掛けず、スリーパーなどでじっくりと試合を構築。飛鳥は珍しい弓矢固めや吊り天井も披露。中盤、飛鳥の投げを踏ん張った里村が飛鳥にボディスラムを決めると、飛鳥は里村の2発目狙いを逆にブレーンバスターで切り返す。この攻防がもう一度あり、そこから飛鳥は、もう一ランク上の雪崩式ブレーンバスターへ。このボディスラムからの一連の攻防は非常に印象的。続くサソリ狙いは里村が切り返し、ストレッチ技で逆にエスケープを奪取。東看板にお互いの頭をガンガンぶつけあう場外戦を経てリングに戻ると、キック合戦から飛鳥はスッとフロントスリーパーに移行し、里村はエスケープ。
ここから大技が飛び交い出し、里村が強烈なオーバーヘッドキックを決めると、飛鳥は机フットスタンプ、ライガーボム、タワーハッカーボムの波状攻撃。里村はデスバレーで反撃するも、飛鳥はカウンターキックから再度タメにタメてのタワーハッカー。これを2で返し、キックで反撃した里村がスコーピオを狙うと、またも飛鳥はハイキックで迎撃し、一瞬の間をついた逆回し蹴りでカウント3を奪取。
セミファイナル "GAEAvs 元全"シングルバウト パート3 30分1本勝負
×永島千佳世(13分18秒、裏拳から片エビ固め)アジャ・コング○
序盤、場外でアジャが永島を追うと、永島は素早く逃げ回り、アジャを翻弄。そして場外のアジャに対し、コーナー最上段から場外フットスタンプ3連発を投下し、リングに戻ってからもフットスタンプで追撃。
終盤、永島は雪崩式回転エビを返されると、珍しくイラ立ってレフェリーに猛抗議。
そこから回転フットを狙うも、明らかにアジャの位置が悪く、かわされる。それでも丸め込み技の連発でフォールを狙う永島だったが、アジャに逆にマヒストラルを決められ、最後は裏拳をモロに食らってカウント3。さすがに勝負所を外さないアジャは、この完勝でタッグ連敗を帳消しに。そして、レフェリーへの抗議やその後のアピールなど、永島がイラ立ちを見せた理由は?
メインイベント "GAEAvs元全"シングルバウト パート4 30分1本勝負
×カルロス天野(19分43秒、ジャパニーズオーシャン・サイクロンスープレックスホールド)豊田真奈美○
素足で登場した天野は、ゴングが鳴るとマットに寝転がり、豊田を誘う。逆に豊田はコーナーに上がり天野を挑発。
この日、なぜかロメロにこだわりを見せた元全は飛鳥、アジャに続き豊田もロメロ。一方、序盤から豊田を小バカにしたような態度を繰り返す天野は、豊田の顔にチョン蹴りを連発。これには豊田の顔色が明らかに変わり、強烈なドロップキックをドカン!
そして技を食った天野が逆大魔神ポーズを取ろうとしても、ポーズの途中で容赦なく天野の顔面に強烈な前蹴り!厳しい!
ところが、なぜかここから天野がヘラヘラ笑って壊れ出し、謎のカンフーポーズで挑発したり、コーナー上で蹴りを入れられると、ダラリと後ろにのけぞり、豊田が近づくと起き上がりこぼしのように反動をつけてヘッドバットを叩き込んだりと、広田が乗り移ったかのようなファイトを展開。この天野のコンニャク戦法には、豊田のみならず、観客も困惑。
しかし、サイクロンの途中で豊田が技を外し、負傷中の左肩を一瞬気にすると、それまでの戦法から一転して天野は牙をギラリ。ワキ固めや腕固めで豊田の負傷箇所を容赦なく絞り上げる。この天野の攻めに場内大歓声。館内によもや…の空気が流れるが、豊田は天野が十字狙いで飛びついたところを踏ん張って耐え、そのまま空中で天野の腕をクロス。そのままサイクロンで叩きつけて逆転勝利。
結局、シングルは元全の4連勝。豊田は天野たちを無視して長与を挑発するが、長与は言い返せず。そしてアジャは「女子プロ界に未来なんかない。ウチらがやるだけやって辞めたら、その時が女子プロレスの終わりの時だ」と、平成世代の存在を全否定するかのような、辛辣なマイク。
これに対し、永島はただ一人「新しい女子プロ界は若いウチらが盛り上げる!そのために上の選手全員成仏させてやる!」と言い返し、同世代を残して退場。言われっ放しを良しとせずも、自らの説得力のなさにイラ立ちを隠せなかったか。
そして観客の複雑な視線の中、無言のまま退場した平成世代たち。それは単に言い返せなかっただけのか、答えはリングで示すという無言の意思表示だったのか。後者であることを願いつつ、大阪大会が迫る。