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WILD TIMES
2001年1月14日 後楽園ホール
観客動員数:2200人
第1試合 シングルマッチ30分1本勝負

×広田 さくら
vs
北斗 晶○
(8分05秒、DQボムからエビ固め)
中島リングアナ・試合のポイント
 GAEA マット最後のHHH王座未経験者・北斗。今日こそはベルト戴冠の期待がかかりましたが、広田が「まだ関西から奪回出来てない」とかでこの日はノンタイトル戦に。残念。広田はブルのコスプレで登場。ちなみに試合開始時間が押したのは逆立てた髪の毛が乾くのに時間がかかったから。イッツ、トルゥー。ところで、ブル様のテーマが流れてもほとんど客席に反応がなかったのは時代の流れか、あるいは客層の違いでしょうか。

 試合は天下のデンジャラスクイーン相手に広田がカンチョー、ローブロー、鼻くそつけと下品な攻撃を連発。何とか笑わせようと…いや、怒りの導火線に火をつけようとするも、北斗も意地になってムキにならず。更に広田は倒されてもブリッジしたままエクソシストのようにシャカシャカ歩いてにじりよったり、北斗が張り手を食らわせてもフレアーのようにスローモーションで倒れたりと北斗にペースらしいペースを握らせません。

 ここから広田が脱力した北斗の隙を突いて勝ちに行けば非常に面白い展開でしたが、業を煮やした北斗のノーザンライトボム予告に広田は「それだけはイヤ」と逃げ回り、執拗にギブアップ表示。あきれた北斗は嫌々DQボムを決めてフィニッシュ。最後の広田のギブアップ表示はお客さんひきましたね。広田のプロレスはレスリングとそうでないものの微妙なバランスの上に成り立っているだけに、一歩配分を間違えると…奥深し。

 さて試合後。さんざんふざけておきながら広田はなんと北斗に仰天の弟子入り志願!それまでがそれまでだっただけに昭和世代も観客も半信半疑でしたが、その後はちゃっかり卑弥呼のセコンドについたり、帰りも尾崎の車に乗って帰ったりと、どうやら本気モード。もともとはOZについたこともある人だし、人の癇に障ることをするのは天下一品な人なので、今回のヒール転向は面白いんじゃないかと。ちなみにヒール転向を機に名前も広田悪良(あくら)に変えるそうです。ねぇ、悪いの?良いの?
 ところで、この一連の動きにちょっと面白くなさそうなのがポリス。「お前なんか認めてねぇぞ!」と広田に厳しくあたるも、横にいた北斗に「オメーも認めてねぇよ」と突っ込まれてションボリ。
第2試合 シングルマッチ30分1本勝負

×加藤 園子
vs
KAORU○
(7分57秒、エクスカリバーから片エビ固め)
中島リングアナ・試合のポイント
 黄色い一輪花を手に入場のKAORUは、その花でセコンドの飛鳥を差して挑発。最近はちょっとした“入場シーン美人”。一方の加藤は髪にパーマをかけて登場。試合はフロントキックを駆使するKAORUに対し、加藤はノーモーション頭突きで対抗。ゴツンと響く生音に両者の額は真っ赤。KAORUは加藤の勝負を賭けたクーロンズゲートを防ぐと、机片を脳天に一撃!木くずと塵の舞う中、リング中央でエクスカリバーをグサリと刺してフィニッシュ。KAORUの完勝。
第3試合 タッグマッチ30分1本勝負

○里村 明衣子

植松 寿絵

竹内 彩夏
vs
デビル 雅美

ダイナマイト・関西×

山田 敏代
(11分56秒、デスバレーボムから片エビ固め)
中島リングアナ・試合のポイント
 竹内はムエタイチックなニューコスチュームで登場。試合は序盤から機動力を駆使する里村組がやや優勢。ベテラン組は重い攻撃でこれを寸断。特に関西が里村の胸元に見舞った重爆ミドル3連発はド迫力。しかし試合は植松が一歩引いて竹内を生かしつつ、里村にゲタを預ける作戦がズバリ的中。終盤、里村と関西のシングル状態となり、関西のスプラッシュ狙いを腕十字に切り返した里村は、勝負と見るやデスバレー⇒オーバーヘッド2連発⇒デスバレーと凄まじい連続攻撃で関西から一気にカウント3を奪取!最後のたたみ込みは説得力十分で、勝ち誇る姿もさも当然といった立ち振る舞い。一方、完敗の関西は慟哭し、明暗クッキリ。
セミファイナル タッグマッチ45分1本勝負

長与 千種

×永島 千佳世
vs
ライオネス飛鳥

シュガー佐藤○
(11分19秒、スパイラルボムからエビ固め)
中島リングアナ・試合のポイント
 久々のクラッシュ対決とあって期待値は高かったと思いますが、試合は思いのほかローテンションのまま終了。4人ともコンディション的にもう一つだったのと、3試合目あたりと比べると“たたかい指数”が低かったかなと。シュガーが年末から使い出したヌリカベスプラッシュ(仮称)は沸いてました。個人的には1度はクラッシュとの試合をぶちあげたシュガー&永島がどんな心境なのかなと思っていましたが、試合後、シュガーは普通に握手。永島はやや躊躇した後、やんわり拒否。客席も敏感でした。
メインイベント シングルマッチ60分1本勝負
 AAAWシングル選手権試合

×アジャ・コング
vs
尾崎 魔弓○
(15分02秒、裏拳から片エビ固め)
尾崎 魔弓第5代王者に
中島リングアナ・試合のポイント
 なんだかんだでかれこれ3年ぐらい待たされた尾崎がついに王座初挑戦。積年の恨みを右手甲に込めてゴングと同時にアジャの顔面を猛襲するも、アジャは場外で形勢逆転。情け容赦のない椅子&鉄扉攻撃で流血させると以後はペースを握り尾崎劣勢。しかし、押されながらも突進切り返しのワキ固めなど最近は見せないテクニックで狙いはアジャの右腕。執拗な右腕狙いはじわじわと効き出し、アジャは各種裏拳を繰り出すも3カウントは奪えず、放った後、悶絶するシーンも。それでもまだアジャ優勢だった展開をイーブンにしたのは、尾崎の閃きダイビングニーアタック。以降、一進一退の攻防から明暗を分けたのは15分前のワンアクション。アジャは両者グロッギーの状態からついにグローブを外して素手に。しかし、この“脱ぎ捨て”の一瞬のタイムラグを見逃さなかった尾崎は、アジャに素手裏拳を打つ隙を与えず、逆に顔面に凄まじい裏拳の嵐。何発目かでアジャの体がゆっくりと崩れ落ち、尾崎はついにカウント3奪取。めちゃくちゃやってるようで、裏拳勝負と右腕殺しという2点だけは外さなかったのは素晴らしいと思います。

 試合後のリング上。「ちゃんとしたシングルは15年目で初めて」という隠れた苦労人は、涙は出さずも目は真っ赤。アジャも納得の敗戦で両者抱擁。ベルト戴冠後、尾崎は勝利者賞のワインを観客にプレゼントする粋な計らい。OZ興行もそうですが、ヒールながらこの人は実は“ハッピーエンド上手”だったりします。